生命情報科学(バイオインフォマティクス)は、ゲノム配列からタンパク質分子の立体構造・機能、それらの細胞・個体内での相互関係にいたるまでの幅広い生命現象を、情報論的な立場から取り扱う総合的な科学です。当研究センターでは、我が国における生命情報科学研究の中核拠点となることを目指し、最新の情報数理理論の適用や大規模高速計算システムの活用等を独自の特徴として、生命情報科学の飛躍的な高度化と体系化に貢献する研究開発を行います。
従来は、データベースからの相同配列の検索や立体構造の分類推定など個々別々の支援ツールとして開発されてきた情報技術に対して、我々はそれらの技術融合を行うとともに、情報科学的な深い理論体系を与えて、一層の発展を図ります。最終的には、生命現象を計算機上にモデル化し、信頼度の高い計算機シミュレーションを通じて、新しい生物学研究の手法を開拓することを目指します。
計算によるアプローチは、現在行われている分子生物学実験を完全に代替することはあり得ませんが、必要となる実験の量を減らすことにより、コストの軽減、開発時間の短縮、倫理・安全問題の解消などに貢献して、21世紀のバイオテクノロジー産業の基盤を支える技術となると大きく期待されています。
当研究センターは、実験生物学のプロジェクトから完全に独立して情報論的アプローチのみで生命情報科学の研究を行う組織です。それだけに、その自由と責任への自覚が強く求められます。我々は外部の実験生物学者と常に密接に協力し、研究成果を速やかに実用化する事を重視します。また現存の実験手法に拘泥することなく、日々提案される新しい実験手法に即応した情報処理技術の提供を目指し、もしくは自分達で新しい実験システムを提案することを目指します。様々な分野からの学際的な人材結集により、生命情報科学のブレークスルーを目指します。
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