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高精度のタンパク質disorder領域予測法を開発

2006年 8月11日掲載

独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)生命情報科学研究センター【センター長 秋山泰】タンパク質機能チーム 野口 保研究チーム長らは、株式会社ファルマデザイン【代表取締役社長 古谷利夫】と共同で、従来の予測精度を超えるタンパク質disorder領域(ある特定の立体構造をとらない領域)の予測法の開発に成功いたしました。 これにより、X線結晶解析やNMRなどによるタンパク質立体構造解析をはじめ、様々な実験の効率化が可能になります。


図. Disorder領域の例
正常プリオンタンパク質PrPC N末構造、青で示した部分がdisorder領域

タンパク質は立体構造を形成し、その立体構造の特徴により、他の分子と相互作用することによって、機能を発揮すると考えられています。 そのため、多くの時間と労力を費やして、タンパク質の立体構造を解析していますが、その数は現在約3万で、タンパク質のコード領域の配列データに比べて1/10以下でしかない状況です。

しかしながら、従来から知られていた、ある特定の立体構造を形成しない領域(disorder領域: natively unfoldedとも呼ばれる)の中に、近年、機能発現に関与する領域があることが実験的に明らかになり、このような領域は高等生物に特に多く見られる傾向があることがわかってきました。 それらは、転写調節に関するタンパク質やDNA結合タンパク質に多く存在することが示唆されています。 このように、 disorder領域と機能の関係を明らかにすることが、タンパク質の機能理解する上で重要になってきています。

また、disorder領域は、X線結晶解析やNMRによるタンパク質立体構造解析において、結晶化やスペクトルの帰属の妨げになるため、予め取り除いておくことにより、解析を容易にすることができることもあり、disorder領域予測法の開発も近年活発になっています。
このように、disorder領域予測は、タンパク質の構造・機能解析を行う上で重要性を増しており、その精度を上げることのよって、本分野の研究の効率を上げることが可能になります。

本予測法は、POODLE(Prediction Of Order and Disorder by machine LEarning)と命名し、8月10日より生命情報科学研究センターのWEB上( http://mbs.cbrc.jp/poodle/ )で無償公開する予定です。 また、今秋には、株式会社ファルマデザインよりインハウス版の販売(価格未定)を予定しています。


図. POODLE-L( http://mbs.cbrc.jp/poodle/ )の操作画面
プリオンタンパク質の予測結果の例

本件のお問い合わせ先

生命情報科学研究センター
タンパク質機能チーム 研究チーム長 : 野口 保
Tel : 03-3599-8041
E-mail :

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