2007年 1月18日掲載
独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)生命情報科学研究センター(以下「CBRC」という)【センター長秋山 泰】タンパク質機能チーム 野口 保研究チーム長らは、株式会社ファルマデザイン【代表取締役社長 古谷利夫】との共同チームで参加した世界的規模のタンパク質立体構造予測コンテスト(CASP)※1において、disorder 領域予測※2の部門で19チーム中、総合で第2位に選ばれました。
本年度実施されたCASPは、2006年11月26日〜30日に米国のPacific GroveのAsilomar Conference Centerにおいてミーティングが開催されました。 CBRCタンパク質機能チームの野口保チーム長をリーダーとするCBRCとファルマデザインの合同チームは、同年5月〜8月にかけて出題された問題を、問題毎に設定された期限内(約1ヵ月程度)に、独自に開発したdisorder予測プログラムPOODLEシリーズ(POODLE-S、-L、および-W)※3を用いるとともに、アミノ酸の出現頻度、二次構造予測、構造認識法などから得られる構造情報を加え、最終的なdisorder領域を予測しました。 そして、CBRCとファルマデザインの合同チームは、disorder領域予測のカテゴリにおいて、総合で第2位、長いdisorder領域の予測では第 1位の成績を収めました。 さらに、CASPの評価者からは、CBRCとファルマデザインの合同チームが開発した方法は、擬陽性が一番低く、最も実用性の高いものであるとの評価を得ました。
CASP7で用いたdisorder予測プログラムPOODLEシリーズ(POODLE-Sおよび-L)は、CBRCのWEB上( http://mbs.cbrc.jp/poodle )で公開しています。 さらに、POODLE-Wも公開予定です。 なお、POODLE-L(タンパク質中の長いdisorder領域を予測するプログラム)のインハウス版は、ファルマデザインから提供しています。 また、ファルマデザインでは、このコンテストで高い評価を得た技術を用いて、タンパク質研究支援として、disorder領域予測の受託研究を開始する予定です。
ASPは、2年毎に開催される世界的規模のタンパク質立体構造予測コンテストです。 今回で7回目の開催となります。 構造が解かれていないタンパク質を問題としたblind test方式をとっており、国際的な審査員による厳格な審査が行なわれています。 今回は、2006/11/26〜30に米国のPacific GroveのAsilomar Conference Centerにおいてミーティングが開催されました。 約200人の研究者が参加し、コンテストの成績発表、成績上位者の講演、および現状の問題や今後の課題などのディスカッションが行なわれました。
CASP7のホームページ : http://predictioncenter.org/casp7/
disorder領域とは、タンパク質中で立体構造を形成していない領域であり、分子認識などタンパク質機能発現に関わっている重要な領域です。 disorder領域を予測することによって、立体構造解析などを含めタンパク質解析実験を加速させることが可能であると考えられます。
CBRCタンパク質機能チームと株式会社ファルマデザインが共同で開発した、機械学習を用いてdisorder領域を予測するプログラムです。
POODLE-S : タンパク質中の短いdisorder領域(Short region)
POODLE-L : タンパク質中の長いdisorder領域(Long region)
POODLE-W : タンパク質全体のdisorder(Whole)
の3種類があります。
生命情報科学研究センター
タンパク質機能チーム 研究チーム長 : 野口 保
Tel : 03-3599-8041
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