近年のNGS技術の発展は、個別化ゲノムという個体レベルでのゲノム配列情報の獲得に寄与するのみならず、定量的遺伝子発現情報をもたらすことで高精度な生命機構解明への道を開いた。これを始めとする膨大な情報を駆使し、有用化合物や抗体医薬などの効率的生産を実現するためには、質的な進化を続ける各種オミクス情報(ゲノム情報や遺伝子発現情報、プロテオーム情報、メタボローム情報、さらにはタンパク質構造情報という多様な階層の生物学データ)を、最新の情報科学を導入して開発した統計的手法、数理解析手法、・物理学的手法で解析することが不可欠である。ネットワーク情報チームでは、各手法を新規に開発することによって、生体内で起こっている各種分子及び遺伝子の相互作用の推定、および現象のメカニズムとネットワーク動態を解明することを目的とする。具体的な研究テーマは以下の通りである。(括弧内は担当研究員)
■ 工業的抗体医薬生産に必要な遺伝子群の相互作用推定(全員)
■ 物質生産メカニズムの解明と効率的物質生産への応用 (全員)
■ 微細藻類におけるバイオディーゼル産生経路の推定 (油谷)
■ 構造方程式モデリングによる細胞分化制御ネットワークの推定(油谷)
■ 酵素活性からの特定成分分解メカニズムの解明(油谷)
■ メタノール資化酵母を用いた有用微生物改変技術の開発( 油谷、富永)
■ 微小重力環境による創薬支援技術の開発( 富永、油谷)
■ 経時変化するネットワーク構造のための数理モデルの開発(富永)
■ アミロイド形成過程の解明及びアミロイド形成阻害剤の開発(亀田)
■ 蛋白質・RNA相互作用の推定及び蛋白質・核酸複合体・立体構造の予測(亀田)
■ 分子シミュレーションに基づく代謝酵素の高活性化(亀田)
ゲノム解析、配列解析、次世代シークエンサーアセンブリ